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毎日新聞に掲載されました。

2008.01.30

 

(毎日新聞/2008年1月29日発行より抜粋)

 

お茶~もてなしの心を込めて~

つぼ市製茶本舗(高石市)

 

「お茶の特徴をそのまま引き出すのに、大阪の水道水が適しているんですよ。」

水にお金をかける時代に、ちょっと意外な話を教えてくれたのは「つぼ市製茶本舗」の谷本順一社長(49) 。

幕末から続く老舗の5代目で、全国の産地に出かけ「これは」 と見込んだ茶葉を買う。

大阪の水に合ったお茶づくりを念頭に、茶葉選びやブレンドに磨きをかけている。

 

お茶の味にはあまみ、渋み、苦味といった要素があるが、水の硬度などでどの要素が強調されるかが変わってくる。

多くの人においしく飲んでもらうため、水道水でいれた時に各要素がバランスよく引き立つよう、ブレンドしている。

「(水道水の)蛇口から出るときに空気が交じり、水が生きるんです。」と谷本さん。

 

茶は5月ごろ 「一番茶」を積み、秋口まで計3、4回収穫期がある。

中でも一番茶は長期間養分を吸っているため、アミノ酸などが多く、夏以降に積まれる茶とは、甘みが格段に違う。

谷本さんが買い付けるのは、ほとんどが一番茶。

毎年5月、京都、静岡、九州各地の茶所を飛び回り、仕入れる。

 

買い付け時は、茶葉を湯にいれた状態で色、香り、味を見る。

一度に100品以上並んだ中から目当てを見つける。

味見はひとさじすくって口に含むだけ。感覚だけが頼りだ。

「体調が悪いとだめ。味覚が狂わないよう酒、たばこはもちろん、味の濃いものも食べません。」

ぺとボトルのお茶の普及で 、茶全体の消費者は増えたが、反面、急須を使ってお茶をいれる機会が減っている。

「お茶の間」 という言葉こそあれ、食後に家族が集まってお茶を飲む、という光景も少なくなった。

谷本さんは、こうした「日常のお茶(常茶)」 こそ大切にしたい、と話す。

 

取材の前、自ら緑茶をいれてくれた。

「お茶というのは、相対峙する人が心を込めていれるもの。お客さんには自分でお茶を出す、というのがうちの決まりなんです。」 と谷本さん。

「もてなしの心がこもったお茶であれば、味は二の次。」とも。

それだけに、ペットボトルの功績は認めつつも、渇きを癒すためだけの飲み物ではいけない、との危機感もある。

 

同社は幕末の1850年、堺で創業。

1945年、戦災にあって高石に移ったが、谷本さんの堺への思いは強い。

堺での新規出店の」検討や、本来のお茶の味を見直してもらえるような商品開発を進めている。

「千利休が完成した茶道は、ヨーロッパの茶文化にも影響を与えた。当時、その発信地となったのが堺。文化拠点としての地位を取り戻したい。」

【花牟礼紀仁】

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